オオイヌノフグリ
オオイヌノフグリ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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Veronica persica
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分類(APG III) | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Veronica persica Poir. (1808)[1] | ||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||||||||
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オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢、学名:Veronica persica)は、オオバコ科[2]クワガタソウ属の越年草。路傍や畑の畦道などに見られる雑草。特に、湿ったところで多く見られる。別名「星の瞳」ともよばれる[3]。中国名は、阿拉伯婆婆納[1]。
和名はイヌノフグリに似てそれより大きいために付けられた。フグリとは陰嚢のことで、イヌノフグリの果実の形が雄犬の陰嚢に似ていることからこの名前が付いた。オオイヌノフグリの果実はハート型で、フグリに似てはいない[4][5]。
形態・生態[編集]
越年草[3]。秋に芽を出して他の植物が繁茂しない冬に横に広がって育ち、早春に多数の花をつけ、春の終わりには枯れてしまう。夏の間は種子で過ごす。寒さに耐えるため、細胞内の糖濃度を高める機能を持ち、葉と茎に生える短い毛で雪と霜を遠ざけて保温する[5]。
草丈約10–20cm。葉は1–2cmの卵円形で、鋸歯がある。
花弁は4枚に見えるが基部はつながっている[3]。ただし、それぞれ大きさが少し異なるので、花は左右対称である。色はコバルトブルーだが、まれに白い花をつけることがある[4]。花は太陽の光によって開閉し、1日で落花するが[6]、2日めにもう一度開くものもある[5]。花の中央の1本が雌蕊、その外側の2本が雄蕊で、その先端の葯に白い花粉がついている[3]。花の中心にある蜜でハチ、ハナアブ、チョウなどの虫を誘う虫媒花だが、虫による受粉が失敗しても左右の雄蕊が内側に曲がって雌蕊に触れることで自家受粉も可能で[3]、自家受粉でよく見られる近交弱勢はないか非常に小さい[7]。
自然群落の5個体で、1個体あたり平均545個の種子が生産されたという調査結果がある[8]。
分布[編集]
ヨーロッパ原産[9]。アジア(日本を含む)、北アメリカ、南アメリカ、オセアニア、アフリカに外来種(帰化植物)として定着している[9]。
日本に入ったのは明治初年と推定され、1884年あるいは1887年に東京で見られてから急速に拡大し、1919年には全国的にありふれた草になった[10]。
近縁種[編集]
近縁種にイヌノフグリ、タチイヌノフグリ、フラサバソウなどがある。いずれもオオイヌノフグリより小型で、花ははるかに小さいので目立たない。なお、日本の同属にはクワガタソウ(Veronica miqueliana)の仲間があり、これは山地から高山に分布し、イヌノフグリを大きくしたような美しい花の野草である。
脚注[編集]
- ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Veronica persica Poir. オオイヌノフグリ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年6月11日閲覧。
- ^ 大場秀章編著『植物分類表』アボック社、2009年、217頁。ISBN 978-4-900358-61-4。
- ^ a b c d e 亀田龍吉 2019, p. 4.
- ^ a b 岩槻秀明『街でよく見かける雑草や野草がよーくわかる本:handy & color illustrated book:収録数550種超!』秀和システム、2006年。ISBN 4-7980-1485-0。
- ^ a b c 多田多恵子「早春の青い花の秘めた知恵」
- ^ 鶴内孝之「フラサバソウとオオイヌノフグリの生殖生態」85 - 86頁。
- ^ 鶴内孝之「フラサバソウトオオイヌノフグリの生殖生態」85-89頁。
- ^ 鶴内孝之「フラサバソウとオオイヌノフグリの生殖生態」87頁。
- ^ a b 国立環境研究所. “オオイヌノフグリ”. 侵入生物データベース ―外来種/移入種/帰化動植物情報のポータルサイト―. 2012年8月16日閲覧。
- ^ 鶴打孝之「フラサバソウとオオイヌノフグリの生殖生態」85頁。1887年とするのは国立環境研究所『侵入生物データベース』「オオイヌノフグリ」。
参考文献[編集]
- 亀田龍吉『ルーペで発見! 雑草観察ブック』世界文化社、2019年3月15日、4 - 5頁。ISBN 978-4-418-19203-8。
- 清水矩宏・森田弘彦・廣田伸七編著『日本帰化植物写真図鑑:Plant invader 600種』全国農村教育協会、2001年、303頁。ISBN 4-88137-085-5。
- 多田多恵子「早春の青い花の秘めた知恵」、『絵本のたのしみ』(月刊「かがくのとも」2009年3月号折り込みふろく)。
- 鶴内孝之「フラサバソウとオオイヌノフグリの生殖生態」、『雑草研究』39巻2号、85-90頁、1994年。
- 平野隆久写真『野に咲く花:写真検索』林弥栄監修、門田裕一改訂版監修(増補改訂新版)、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2013年、480頁。ISBN 978-4-635-07019-5。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- "Veronica persica Poir". Germplasm Resources Information Network (GRIN). Agricultural Research Service (ARS), United States Department of Agriculture (USDA). 2014年4月10日閲覧。 (英語)
- "Veronica persica Poir" (英語). Integrated Taxonomic Information System. 2014年4月10日閲覧。 (英語)
- "Veronica persica". National Center for Biotechnology Information(NCBI) (英語). (英語)
- "Veronica persica" - Encyclopedia of Life (英語)
- 波田善夫. “オオイヌノフグリ”. 植物雑学事典. 岡山理科大学生物地球学部. 2012年8月16日閲覧。
- 福原達人. “オオイヌノフグリと類似種”. 植物形態学. 福岡教育大学教育学部. 2014年4月10日閲覧。