栗山英樹さんが生き方の極意を書いた著作が人気……「信じ切る」「信じるといっても、すべてを信じるというのは違う」
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カリスマキリンへの道
ゴールデンウィークも終わりましたが、みなさん、お元気でしょうか。おじキリンです。僕はいつも五月病なので、一周回ってほどほどに絶好調です!
野球日本代表「侍ジャパン」前監督の栗山英樹さん(63)と言えば、現代のカリスマの一人です。昨年開かれた野球の国・地域別対抗戦「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」で日本代表が3度目の世界一を達成してから、書店でも関連書をよく見かけます。今年3月には『信じ切る力』(講談社)が出版されました。
疑問の声もある中で、投手と打者の二刀流を目指す大谷翔平選手をなぜ支え続けたか。WBCで不振にあえぐ村上宗隆選手を起用し続けた理由。さすが名監督です。単に「信じる」ではなく、「信じ切る」エピソードが並びます。
その中で、僕が最もひかれたのは、「信じるといっても、すべてを信じるというのは違う」と説く考え方です。栗山さんはある選手がこのくらいホームランを打つと信じたら、酒を飲もうが、夜更かしをしようが問わないそうです。
つまり、その人のある部分だけを信じると決めるのです。
僕たちは、信じたい相手のすべてがほしくなります。自分の理想をその人に投影し、違っていると理不尽に怒ったり、幻滅したりしてしまう。でも、それは単なる「依存」なのだと思います。
真のプロは、ある目標に向かって熱くなりながら、一線を引けるということなのかもしれません。
この本は「信じ切る」と同時に、「すべては信じない」ことが書いてあります。その境地に至ったとき、世界一にチームを導ける監督になれるのでしょう。見習いたいけど、僕はそこまで自分に厳しくなれません。友達のガーゾーくん(僕の想像の世界に住んでいます。黄色いふわふわした毛の子アヒルです!)だけは、その全存在を信じることを許すことにします。
今月のもう一点
町屋良平『生きる演技』(河出書房新社)。日々の生活は小さな「演技」の積み重ねであり、その先に学校や社会など大きな「劇場」がある。信じるとともに、大切なことを感じました。