(793)「動かない鳥」が飛んだ! ハシビロコウ
2024年06月13日 09時00分
つばさを広げて飛ぶハシビロコウ
「朝、開園直後なら飛ぶところを見られるかもしれませんよ」。神戸市の神戸どうぶつ王国の広報、宮本江津子(えつこ)さんが教えてくれた。次の日の朝、入園してすぐに「ハシビロコウ生態園ビッグビル」に向かう。
とても広い。出口まで60メートルもある。池のような水場のまわりに熱帯の木や草がうっそうと生い茂り、あざやかな赤や黄色の花も咲いている。
「ハシビロコウの生息地、アフリカ中央部の湿地帯を再現しています」と担当の長嶋敏博さん。植物や水場だけでなく、時期によって人工的に雨をふらせ、雨の多い「雨期も再現している。
水辺を歩くハシビロコウ
宮本さんの説明だと、ハシビロコウは朝、部屋からビッグビルに出てくる時、飛ぶことが多いそうだ。「動かない鳥」として有名なのに、飛ぶ姿が見られたら超ラッキーだ。わくわくする。
部屋から出てきたハシビロコウにカメラを向ける。「行動を見ていたら飛ぶ時が分かるんですよ」と長嶋さん。えっ、どういうことですか?
「飛ぶ前になると、飛ぶ方向をにらんで今か今かとタイミングを見計らう。羽を持ち上げ、飛ぶぞっていう姿勢になり、パッと瞬発力を使って飛び上がる。ずっと観察してたら、そろそろ飛ぶなっていうのが分かります」
えだの上で少し羽を持ち上げる。飛びそうだ
羽を少し持ち上げた。あっ、飛ぶかなと思ったら、本当に飛んだ。(文・写真、佐々木央)=2023年9月配信