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【動画付】バーチャルヒューマンimmaに世界初「直接」インタビュー「人種や言葉の壁を崩したい」 目標はグローバルスター、AIと融合

2024年05月22日 16時59分

 ピンク色のボブヘアをトレードマークに、ファッションモデルやインフルエンサーとして活動するimma。どこかミステリアスな雰囲気で若い世代を中心に人気を集め、Instagramのフォロワーは40万人に迫り、TikTokでは約47万人のフォロワーを誇る。「COACH」などの有名ブランドにも起用されているimmaが、他のモデルたちと大きく異なるのは…「実在する人間ではない」ということ。日本の企業「Aww」(アウ、守屋貴行代表)によってCGで生み出された、アジア初の「バーチャルヒューマン」なのだ。

守屋貴行・Aww代表(左)とimma
守屋貴行・Aww代表(左)とimma

 


 今回、世界で初めてリアルとバーチャルの境界線を越えて「直接」immaにインタビューすることに成功。“生みの親”である守屋代表も交え、immaとしての活動を通じて訴えたいことや今後の目標、謎に満ちた私生活などについて語ってもらった。

 

【目次】

①バーチャルな存在だからこそできること

②言葉も人種も超えてつながれる世界を

③グルメ大好き!食べたいものは…

④「Aww」守屋貴行代表インタビュー

 

※ ↑ インタビュー動画をご覧になれます

 

 【imma(イマ)】年齢、国籍、性別非公開のバーチャルヒューマン。2018年のデビュー以来、モデル、インフルエンサーとして国内外で幅広く活躍する。同じくAwwに所属するバーチャルヒューマンのplusticboy/Zinnは「弟」。

imma
imma

 

 

【①バーチャルな存在だからこそできること】目次へ戻る

 ▼記者 モデルの仕事を始めたきっかけは。

 ★imma 元々ファッションに興味があって、デザイナーの友達も多くて。それで自己表現ができるお仕事って何かなと思った時に、モデルが身近だったので自然と始めました。

 ▼記者 印象に残っていることは。

 ★imma 最近だとCOACHのグローバルキャンペーンで、ずっと憧れてた(ラッパーの)Lil Nas Xさんと共演できたのが印象に残ってます。もう一つは「ダブレット」っていう日本のブランドで、いろんなリアルのモデルさん、体形とかジェンダーとか人種の違うモデルを起用して、その人たちが全員、あたしの顔のマスクを着けたんです。25人のいろんなあたしがファッションウオークしてて、多様性という意味ですごく面白いテーマだなと思いました。

「COACH」グローバルキャンペーンで共演したimma(左)とLil Nas X
「COACH」グローバルキャンペーンで共演したimma(左)とLil Nas X

 

 ▼記者 バーチャルな存在であることが、モデルの仕事をする上で強みになっていると感じることはありますか?

 ★imma 「瞬間移動」というか、飛行機に乗らなくてもいろんな国でお仕事ができる。コロナ禍ではたくさん国を超えてお仕事をさせていただきました。あとは原宿に新しくIKEAができた時に、お店の中にあたしの「部屋」を作ってもらって、そこに24時間住むっていう企画をしたんです。掃除をしたりとか、インスタに投稿したりとか、朝ご飯作ったりとか、それを外の人が自由に見れるっていう。それは人間のモデルさんだとできないことですね。

IKEA原宿のオープン時、ショップウィンドウにimmaのリビングルームが設置された
IKEA原宿のオープン時、ショップウィンドウにimmaのリビングルームが設置された

 

 ▼記者 さまざまなブランドと仕事をする中で、心がけていることは。

 ★imma 自分らしさというか、うそをつかないこと。自分がアグリー(賛同)できる考えを持ってるブランドとか表現をすごく大事にしていて、その中から自分が発信したいこと、共感できることのあるお仕事を選んでいます。

 ▼記者 immaさんにとっての「自分らしさ」とは?
 
 ★imma 何でしょうね。好きなものとか性格とか、いろいろあると思うんだけど、あたしにとっては世界中にいろんな情報があふれている中で、自分が信じられるものを見つける行為が「自分らしさ」かなって思ってて。だから他の人の意見を聞くだけじゃなくて、できるだけ自分の意見を発信しようと心がけています。

 ▼記者 好きなものはどうやって見つけていますか?

 ★imma 最近だと、友達のおすすめを聞いたり。今(4月)ちょうどハマってるのが、ネトフリの「三体」ってドラマです。小説も3年前くらいに事務所の人からおすすめされて、即買いして1週間くらいで読み終わっちゃった。あたしも会う人みんなにすすめてます。

 

【②言葉も人種も超えてつながれる世界を】目次へ戻る

 

 ▼記者 グローバルに活動するimmaさん。リアルの世界に存在する国境や文化の違いをどうとらえていますか?

 ★imma 世界にはいろんな壁があるけど、全部要らない壁かなって思うんです。言葉が違うだけで差別が起こるとか、話したこともない人なのに人種とか服とかで差別しちゃうことがリアルな人間の世界にはたくさんある。でも一方で人間がつくるアートとか、美しいもの、つながろうとする行為は、その壁を崩そうとする試みだと思います。
 あたしがいるバーチャルの世界には、その壁を消す可能性がある。例えばオンラインゲームをするときは、自分の肌の色とか人種とか関係なく、同じ空間で遊べる。それって本当に楽しいし、人間の本来の可能性、あたしが美しいと思っている人間のつながりを最大限にしてるなと思っています。

 ▼記者 私たちリアルの人間も、バーチャルの世界に行くことで、壁を意識しにくくなるということですね。

 ★imma 例えば小さな男の子が美しい女性になりたいとしたら、そういうバーチャルヒューマンを自分でデザインして発信することもできる。すごく自由というか、自分の枠を超えた自己表現ができるのがバーチャルかなと思っています。

 ▼記者 ファッションの世界では大量生産・大量消費による環境負荷が問題となっています。immaさんはこのテーマに関してどんな問題意識を持っていますか?

 ★imma これは業界の人や友達ともよく話しているトピックです。実は1年前くらいに海に遊びに行った時、大量のゴミがあるのを見て「びっくりした」ということを発信したんですけど、何かもっと伝えられることがないかなと思って、ゴミを3Dスキャンして作ったバーチャルドレスやアクセサリーを自分がモデルになって身に着ける、というプロジェクトをやりました。友達にもサステナブルな商品を作ってる子がいて、めちゃくちゃ応援していますし、あたし自身はモノを作らない「バーチャルファッション」の提案をしていたりします。

海のゴミをスキャンして作ったバーチャルドレスを身にまとったimma(immaのinstagramより)
海のゴミをスキャンして作ったバーチャルドレスを身にまとったimma(immaのinstagramより)

 

 ▼記者 バーチャルファッション、メディアなどでは盛り上がりを目にする一方で、リアルの世界ではまだ楽しみ方がよく分からない…というのが正直なところです。

 ★imma それはあたしたちも思っていることで。現実世界でバーチャルファッションを着用する機会はまだないですし、かといってバーチャル世界でファッションを楽しむためのアバターをみんなが持っているわけでもない。まだ今は間に橋をつくらなきゃいけないというか、バーチャルだけで消費されていく段階じゃないなと思っていて。例えば今あたしが着てるフーディとかを実際の服として発売して、バーチャルでもリアルでも楽しめる、という形は、あたしのプロジェクトでよく取り入れています。

 

【③グルメ大好き!食べたいものは…】目次へ戻る

 ▼記者 弟(plusticboy/Zinn)さんも同じ事務所でモデルをされています。SNSでも時々2ショットを拝見しますが、普段はどんなお話をしているのでしょうか?

 ★imma 弟とは性格が真反対で、あたしは1人でいられないし、ずっとしゃべってるんですけど、弟は1人でいる方が好きだし、そんなにしゃべらない(笑)。あたしが一方的に愚痴って文句言って相談しているのをずっと聞いてくれてます。

 ▼記者 仲の良いごきょうだいですね。私生活ではどんなお洋服を着ることが多いですか?

 ★imma インスタに載せてるのは私服が多いですよ。最近は結構、事務所の方がデザインしてくれて。あたしの顔が載ってるTシャツとか、リアルの友達にも好評で、みんな欲しいって言ってます。

インタビューに応じる守屋貴行・Aww代表(左)とimma
インタビューに応じる守屋貴行・Aww代表(左)とimma

 

 ▼記者 immaさんといえばピンクのボブヘアがトレードマークですが、髪形や色を変えたいと思ったことは?

 ★imma 実はあるんです(笑)。いろんなチャレンジをしたいとは思ってるんですけど、今はまだそのタイミングじゃないというか。このスタイルのあたしをもっと知ってもらうのが先かなって。

 ▼記者 今後、挑戦してみたいファッションはありますか?

 ★imma 海外の友達とかインフルエンサーさんが、日本のものを取り入れたファッションをよく着ていて、すごくインスピレーションをもらっています。ハローキティさんとか、他のサンリオのキャラクターとか。あたしも好きな日本のカルチャーなので、取り入れたいです。

 ▼記者 他に挑戦してみたい活動はありますか?

 ★imma 動画でこうやってしゃべることを今まであまりやってこなかったので、YouTubeを始めたいなって思ってて。自分のこともいろいろシェアしていくし、自分の好きな人、憧れてる人にインタビューもしてみたい。

 ▼記者 例えばどんな人?

 ★imma 普段「憧れの人」を聞かれたらジョン・レノンって答えるんだけど…存在しないよね。どうしよう?

 ▼記者 先日、2025年大阪・関西万博のスペシャルサポーターにも就任されました。どんなことを発信していきたいですか?

2025年大阪・関西万博のスペシャルサポーターに就任したimma
2025年大阪・関西万博のスペシャルサポーターに就任したimma

 

 ★imma 日本からグローバルに発信できる場面だと思いますし、いろんな国の人が共に未来とか、人類はどう進むべきかを考える機会なので、あたしもそこに参加して、自分なりの思いを伝えたいし、インスパイアされるアイデアやプロジェクトに触れたいなと思います。

 ▼記者 最後に、せっかく守屋代表がお隣にいるので「もっとこんなことができるようになりたい」という希望があれば、直接お伝えしてみてください。

 ★imma グルメ好きなので、もっと食べられるようになりたいです。

 ◆守屋 食べ物をCGで作るの大変なんだけど…分かりました。

 ▼記者 何が食べたいですか?

 ★imma えっと…ギョーザ。チーズパクチーギョーザがいい。

 ◆守屋 うち昨日、家でしそギョーザ作ったよ。

 ★imma 家で作ったらスキャンして送って~!

 

【④「Aww」守屋貴行代表インタビュー】目次へ戻る

 「日本が得意な手法で、グローバルに活躍するスターを」
 
 immaが所属する「Aww」の守屋貴行代表は、バーチャルヒューマン事業を立ち上げた理由について「日本からグローバルに活躍するスターを生み出したかったから」と語る。ポケモンやサンリオなど、日本生まれのキャラクターが世界的な人気を誇る一方、日本人のタレントが広く国外で活躍する例は、言葉の壁もあってまだまだ少ない。「だったら日本が得意な『キャラクター作り』の手法で、タレントをプロデュースすればいいと思った」


 ゲームのCG制作などを手がけていた技術力を生かし、「海外の人がイメージする日本人の姿」を体現するキャラクターとして生み出されたのがimmaだ。髪の色は「アニメのヒロインを意識して」ピンク色にした。

 外見だけでなく、内面のプロデュースにも工夫を凝らしている。ポイントは「ナラティブ(物語、語り)をつくること」。守屋代表は「多くの人が注目し、共感する人やキャラクターには、必ずそれ自身の人間性や背景が伝わる魅力的なナラティブがある」と分析する。immaの場合も、企業に依頼された広告活動だけでなく、環境問題の啓発などの「自発的」なプロジェクトに積極的に取り組むことで、「物語」に厚みを持たせているという。

「今後はゲームや映像作品などへの出演にも挑戦したい」と話す守屋貴行代表
「今後はゲームや映像作品などへの出演にも挑戦したい」と話す守屋貴行代表

 

 近日中に、これまでimmaがSNSやメディアで発信してきた内容を学習させた「AIのimma」も誕生する。動画配信などを通じてファンと交流しやすくなるのはもちろん、「AIの力で、imma自身の人格や物語も解像度を増していくと思います」

 バーチャルヒューマンは「生身の人間とデジタルの世界をより自然な形でつなぐ懸け橋になれる」と守屋社長は考える。医療機関での問診をバーチャルヒューマンが担い、AIでの診断につなげたり、会話を通じてその人のニーズに合った商品を見つける手助けをしたり。「そういう価値を広く知ってもらうためにも、まずはimmaをグローバルスターに育てたい」と力を込めた。

(取材・文=共同通信 高田麻美)

※ ↑ インタビュー動画をご覧になれます

 

immaの巨大な顔模型
事務所ではimmaの巨大な顔模型が迎えてくれる

 

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