政策演説するオバマ米大統領=14日午前10時30分、東京都港区のサントリーホール、林敏行撮影
来日中のオバマ米大統領は14日午前、東京都内でアジア外交の基本政策について初の主要演説を行った。日米同盟を基軸と位置づけ、中国との連携も強調。米国がアジア・太平洋地域の問題に積極的に関与し、この地域で指導的役割を担う意欲を表明した。北朝鮮に対し、近隣諸国との関係正常化の前提条件として拉致問題解決を求めた。
オバマ氏はまず日米同盟について言及。「両国の安全と繁栄の基盤であり続けてきた」と指摘した。
オバマ、鳩山両政権が、ともに「変革」を掲げて政権交代をしたことや、来年が日米同盟の締結から50周年になることを踏まえ、「同盟の再確認にとどまらず、深化させる」と述べ、日米両国で地球規模の課題に共同で取り組む意欲を表明した。
さらにオバマ氏は、太平洋に面した米国を「アジア太平洋国家」と定義。米国の将来が、急速な経済発展を遂げるアジア・太平洋地域と密接不可分な関係にあることを強調した。
一方、アジアで急激に影響力を高める中国について、「21世紀に我々が直面する課題は、一国だけで解決できない。中国が世界規模の問題に積極的な役割を果たすことを歓迎する」と、実務的な協力を目指す姿勢を表明。「米国は中国を封じ込めるつもりはないし、中国との関係強化が(他国との)二国間同盟関係を弱めることにもならない」と述べ、米中の関係強化が、アジア・太平洋地域の利益になるとの考えを強調した。
地域の経済問題については「今回の景気後退が我々に教えた重要な教訓の一つは、経済成長を米国の消費者と、アジアの輸出に頼ることの限界だ」とし、アジアの内需拡大を通じて、地域の経済構造を変革する必要性を訴えた。
安全保障分野では、自らが掲げる「核なき世界」を日本と共に追求する考えを強調。一方で、日本や韓国などに対する核抑止力の提供(核の傘)は維持していくという方針を改めて確認した。