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[[Image:US M18a1 claymore mine.jpg|thumb|right|300px|M18A1 クレイモアとM57[[起爆装置|起爆スイッチ]](左下)・起爆コード(右下)]]
'''M18 クレイモア地雷'''(M18 Claymore)は、[[アメリカ軍]]の使用する[[地雷#対人地雷|指向性対人地雷]]の1つである。
 
ニックネーム愛称の"クレイモア"は、[[クレイモア|スコットランドで使われた大剣]]にちなんだ名称である。
 
== 概要設計 ==
[[File:Macleod_Claymore_patent.png|リンク=https://en.wikipedia.org/wiki/File:Macleod_Claymore_patent.png|右|サムネイル|1956年にMacleodが取得した特許。形状と加害範囲の指向性が描かれている。 ]]
[[File:Claymore Recon placement.jpg|thumb|right|250px|クレイモアを設置する[[アメリカ海兵隊]]員。凹部を覗きこんで角度を調節している。]]
敵の[[歩兵]]らによる自陣への侵攻を阻止する待ち伏せ攻撃や、非装甲車両への攻撃に使用される。重量は1.6キログラム。価格は1基あたり[[アメリカ合衆国ドル|$]]250である。
重量は1.6キログラム。湾曲した箱状の外側に700個の[[鉄球]]と[[C-4 (爆薬)|C-4]]を内包する。
 
内側は比重が大きく強固な外殻で覆われており、[[ミスナイ・シャルディン効果]]によって鉄球のある前面に[[爆風]]が集中することで加害範囲に前方への指向性を持たせている。この為、本体には「FRONT TOWARD ENEMY」(こちら側を敵に向けろ)の文字が刻印されている<ref>{{Cite web |url=https://www.globalsecurity.org/military/library/policy/army/fm/23-23/CH2.htm |title=HEADQUARTERS DEPARTMENT OF THE ARMY Washington, DC, 6 January 1966 ANTIPERSONNEL MINE M18A1 AND M18 (CLAYMORE) FM23-23 CHAPTER 2 - MECHANICAL TRAINING,"Section III. FUNCTIONING AND INSTALLATION" |website=[[:{{仮リンク|グローバル・セキュリティー|en:GlobalSecurity.org|GlobalSecurity.org]]}}|accessdate=2024-01-11}}</ref>。2箇所の信管挿入口の間にある凹部は簡易照準器になっており、ここを通して加害範囲を確認することで設置の位置や角度を調節する
 
設置する際は、本体頂部にある2箇所の[[信管]]挿入口に起爆信管を1-2個装着する。目的により、有線[[遠隔操作|リモコン操作]]によるM57起爆装置を用いた手動起爆、ワイヤートラップに繋げてワイヤーが引っ張られて起爆、時限装置による起爆などを選べるが、その内ワイヤートラップ連動の場合は[[地雷]]のように接近する人間を無差別に殺傷可能なため、[[対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約|対人地雷禁止条約]]の規制対象になる。[[遠隔操作|リモコン操作]]の場合は人間が起爆するため無差別殺傷に当たらず、条約規制対象外である。
地上に敷設して起爆すると前方に向けて鉄球が飛び散り、1基で広範囲に殺傷能力を発揮する。
鉄球の最大加害距離は約250[[メートル|m]]、有効加害距離は約50mで、左右に60度、上下それぞれ最大18度の範囲に撃ち出される。鉄球1つあたりのエネルギー量はおよそ50-60[[フィート重量ポンド]]に達し、強力な[[空気銃]]弾に相当する。設置時の立入禁止エリアは前方180度、半径16m圏内で、危険区域は加害範囲外半径100m圏内である。価格は1基あたり[[アメリカ合衆国ドル|$]]250である。
 
湾曲した箱状の外側に700個の[[鉄球]]と[[C-4 (爆薬)|C-4]]を内包する。起爆すると前方に向けて鉄球が飛び散り、1基で広範囲に殺傷能力を発揮する。鉄球の最大加害距離は約250[[メートル|m]]、有効加害距離は約50mで、左右に60度、上下それぞれ最大18度の範囲に撃ち出される。鉄球1つあたりのエネルギー量はおよそ50-60[[フィート重量ポンド|ポンド]]に達し、強力な[[空気銃]]弾に相当する。設置時の立入禁止エリアは前方180度、半径16m圏内で、危険区域は加害範囲外半径100m圏内である。価格は1基あたり[[アメリカ合衆国ドル|$]]250である。
設置する際は、本体頂部にある2箇所の[[信管]]挿入口に起爆信管を1-2個装着する。目的により、有線[[リモコン]]による手動起爆、ワイヤートラップに繋げてワイヤーが引っ張られて起爆、時限装置による起爆などを選べるが、その内ワイヤートラップ連動の場合は[[地雷]]のように接近する人間を無差別に殺傷可能なため、[[対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約|対人地雷禁止条約]]の規制対象になる。[[遠隔操作|リモコン操作]]の場合は人間が起爆するため無差別殺傷に当たらず、条約規制対象外である。
 
[[アメリカ軍]]においては本体1個と付属品一式、あるいは本体2個を収納できるキャンバス製の肩掛式[[鞄|ショルダーバッグ]]である'''M7 bandolier'''とセットで支給される。このショルダーバッグには使用方法の図解が縫い付けられている。バッグは収容能力が大きく、ある程度の防水性があるため、クレイモア地雷の使用後には雑嚢として重宝された。
2箇所の信管挿入口の間にある凹部は簡易照準器になっており、ここを通して加害範囲を確認することで設置の位置や角度を調節する。
 
== 運用 ==
敵[[歩兵]]らによる自陣への侵攻を阻止する待ち伏せ攻撃や、非装甲車両への攻撃に使用される。[[ソビエト連邦]]は、[[ベトナム戦争]]で[[南ベトナム解放民族戦線|ベトコン]]や[[ベトナム人民軍|北ベトナム軍]]が[[鹵獲]]したM18を入手して模倣し、{{仮リンク|MON-50|en|MON-50|ru|МОН-50}}や{{仮リンク|MON-90|en|MON-90|ru|МОН-90}}などを生産して[[アフガニスタン紛争 (1978年-1989年)|アフガニスタン侵攻]]などで使用した。
採用されたM18A1は、折からの[[ベトナム戦争]]で多用された。[[南ベトナム解放民族戦線|ベトコン]]や[[ベトナム人民軍|北ベトナム軍]]が[[鹵獲]]したM18A1を元に、[[ソビエト連邦]]はM18A1をコピーした{{仮リンク|MON-50|en|MON-50|ru|МОН-50}}を開発し、改良型の{{仮リンク|MON-90|en|MON-90|ru|МОН-90}}や弾体を円形にして大形化した{{仮リンク|MON-100|en|MON-100|ru|МОН-100}}、{{仮リンク|MON-200|en|MON-200|ru|МОН-200}}を生産して[[アフガニスタン紛争 (1978年-1989年)|アフガニスタン侵攻]]などで使用した。[[中華人民共和国]]も、M18A1をコピーした66式定向地雷を製造した。[[ユーゴスラビア]]でも、これらを元に類似した地雷である{{仮リンク|MRUD|en|MRUD|ru|MRUD}}を製造した。
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Non armed mon50 anti-personnel clustermine.jpg|非武装化したMON-50の本体。書かれている「К ПРОТИВНИКУ」は「FRONT TOWARD ENEMY」と同じ意味である。
Type 66 - Chinese Claymore mine.jpg|[[中国人民革命軍事博物館]]で展示される66式定向地雷の本体。書かれている「此面向敵」は「FRONT TOWARD ENEMY」と同じ意味である。
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== 派生型 ==
[[アメリカ軍]]においては本体1個と付属品一式、あるいは本体2個を収納できるキャンバス製の肩掛式[[鞄|ショルダーバッグ]]である'''M7 bandolier'''とセットで支給される。このショルダーバッグには使用方法の図解が縫い付けられている。バッグは収容能力が大きく、ある程度の防水性があるため、クレイモア地雷の使用後には雑嚢として重宝された。
 
== その他 ==
[[File:USAF M113 APC at Camp Bucca, Iraq.jpg|thumb|right|240px|M5 MCCMを側面に装備した[[M113装甲兵員輸送車]]]]
 
似た外見の装備としてM5 Modular Crowd Control Munition(群衆制御弾薬)がある。M5は正面の外見こそクレイモアと同様の暗緑色だが、ゴムやプラスチックの弾を打ち出す非致死性兵器であり、区別のため裏面が明るい緑色で、四角錐の凹凸がつけられている。[[イラク]]においては、[[刑務所]]を[[警備]]する[[アメリカ空軍]]の[[M113装甲兵員輸送車]]が外部の攻撃や収容者の[[暴動]]に対処するためM5を車体側面に搭載しているが、外見の似たクレイモアを搭載していると誤認されたこともあった
 
[[イラク]]においては、[[刑務所]]を[[警備]]する[[アメリカ空軍]]の[[M113装甲兵員輸送車]]が外部の攻撃や収容者の[[暴動]]に対処するためM5を車体側面に搭載しているが、外見の似たクレイモアを搭載していると誤認されたこともあった。
{{main|en:M5 crowd control munition}}
 
[[日本]]の[[陸上自衛隊]]が装備する'''指向性散弾'''も名称や仕組みや加害効果がクレイモアに似ているが、これは[[スウェーデン]]が開発した指向性[[地雷#対戦車地雷|対車両地雷]]である[[Fordonsmina 13]](FFV 013)の[[ライセンス生産]]品で、クレイモアより大型で威力が大きい。なお、日本が対人地雷禁止条約を批准したため、指向性散弾は規制対象外にするために、遠隔操作のみに限定されている
{{main|Fordonsmina 13}}
 
なお、陸上自衛隊が導入したFFV 013は[[リモコン]]のみで[[遠隔操作|操作]]する型に限定されているため、[[対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約|対人地雷禁止条約]]の規制対象外である。
 
== 諸元 ==
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== 登場作品 ==
 
=== 映画・テレビドラマ ===
; 『[[SP THE MOTION PICTURE]]』
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: 下水道に逃げ込んだギャンブルが、追ってくる[[SWAT]]を足留めするためにセットする。その後、ストリートが回収し、施錠された出口を爆破するのに使用する。
; 『[[コマンドー]]』
: 主人公、ジョン・メイトリックス[[大佐]]が[[遠隔操作]]タイプを使用。しかし、本作ではただの強力な[[爆弾]]として描かれており、本物以上の[[爆発|大爆発]]を起こして[[建物]]を木っ端微塵に吹き飛ばしている。
; 『[[ゴースト 〜天国からのささやき]]』
; 『[[沈黙の要塞]]』
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: [[第25歩兵師団 (アメリカ軍)|第25歩兵師団]]が防衛する[[陣地]]の前に仕掛けられており、夜間に襲撃してきた[[ベトナム人民軍|北ベトナム軍]]に対して使用する。
; 『[[ランボー/最後の戦場]]』
: [[ジョン・ランボー]]が[[トールボーイ]]を起爆するためにM18A1を仕掛ける。
; 『[[Mr.ノーバディ]]』
: ハッチがロシア人マフィアに対して使用する。
 
=== 漫画・アニメ ===