金山寺味噌
金山寺味噌(きんざんじみそ)は、和歌山県、千葉県、静岡県等で生産されている、嘗(なめ)味噌の一種。中国から紀州の興国寺に伝わった径山寺味噌(徑山寺味噌、きんざんじみそ)が原型となった。由良に近い湯浅に味噌づくりが広がり、その工程で滲み出した液体から醤油がつくられるようになったと言い伝えられており、「『最初の一滴』醤油醸造の発祥の地 紀州湯浅」として日本遺産の一つに認定されている[1]。
和歌山県の特産品として和歌山県推薦優良土産品に指定されているほか、千葉県でも特産品・推奨土産品として扱われている。
「紀州金山寺味噌」として、地理的表示保護制度により和歌山県を生産地の範囲として登録されている[2]。
概要
編集大豆・米・麦・野菜から作られ、3ヶ月程度熟成させる。おかずや酒肴として食べることが多い。
まず、炒った大豆を引き割り、これに麦を合わせ麹を作り、米麹、塩、糖類と合わせ、塩漬けしたウリ、ナス、ショウガ、シソを加え、密閉して3ヶ月ほど熟成させる。現在では、野菜の入っていない、あるいは上記以外の野菜入りの製品も金山寺味噌と表記される。甘いものの他、糖類を入れない辛口のものもある。
歴史
編集鎌倉時代、禅僧心地覚心(法燈国師)は宋に渡り、浙江省杭州にあった径山興聖万寿禅寺(通称「徑山寺」)で修業し、そこで作られていた嘗味噌の製法も学んだ。帰国後、高野山金剛峯寺を経て、開山した興国寺の周辺に伝えたとされている。紀州由良の地は水が硬質で、より良質な水を求め、北は有田川、南は日高川の周辺に製造が広がったと言われている。
中国の徑山寺では徑山寺味噌の製法は絶えており、丸新本家などが中国側と復活に向けて協議している[1]。
2008年3月20日、和歌山県岩出市の根来寺旧境内から、約430年前の金山寺味噌が見つかった。
2017年8月10日、「紀州金山寺味噌」が地理的表示保護制度に和歌山県の産品として初めて登録された。全国では39番目の登録であり、「味噌」の登録は全国初である[3]。
製造・販売元
編集脚注・出典
編集- ^ a b 【はじまりを歩く】醤油(和歌山・湯浅町、石川・能登町、香川・小豆島町)味噌造る過程 見つけた一滴『朝日新聞』土曜朝刊別刷り「be」2021年7月17日6-7面(同日閲覧)
- ^ “登録の公示(登録番号第39号):農林水産省”. www.maff.go.jp. 2023年1月10日閲覧。
- ^ “和歌山県ホームページ Wakayama Prefecture Web Site”. www.pref.wakayama.lg.jp. 2023年1月10日閲覧。