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「新緑」の版間の差分

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== 季語 ==
== 季語 ==
[[季語]]しての'''新緑'''(しんりょく)は、[[夏]]の季語([[初夏]]の季語)。分類は[[植物]]。初夏の初々しい若葉の緑をいう。子季語<ref group="*">ある主要な季語について別表現と位置付けされる季語を、親子の関係になぞらえて、親季語に対する「子季語」という。「傍題」ともいうが、傍題は本来「季題」の[[対義語]]である。</ref>として、'''緑'''('''みどり''')と、'''緑さす'''(みどりさす)がある。<ref name="Kigosai">{{Cite web |date=2011-08-11 |url=http://kigosai.sub.jp/archives/5094 |title=新緑(しんりょく)初夏 |work=季語と歳時記-きごさい歳時記 |publisher=季語と歳時記の会 |accessdate=2018-02-13}}</ref><ref name="Sogyusha">{{Cite web |author=大澤水牛 |date=2012 |url=http://sogyusha.org/saijiki/02_summer/shinryoku.html |title=新緑(しんりょく) |work=水牛歳時記 |publisher=NPO法人双牛舎 |accessdate=2018-02-13}}</ref> 季語としての「緑」は、新緑を意味する<ref>『[[大辞林]]』</ref>。「緑さす」は、目にも鮮やかな初夏の若葉を通して[[光]]の照り映える様子をいい、[[俳人]]・[[坪内稔典]]は『[[毎日新聞]]』の「季語刻々」で「[[水原秋桜子]]編『新装版俳句小歳時記』では『若葉影が映ること』と定義している」と説明している。
[[季語]]しての'''新緑'''(しんりょく)は、[[夏]]の季語([[初夏]]の季語)。分類は[[植物]]。初夏の初々しい若葉の緑をいう。子季語<ref group="*">ある主要な季語について別表現と位置付けされる季語を、親子の関係になぞらえて、親季語に対する「子季語」という。「傍題」ともいうが、傍題は本来「季題」の[[対義語]]である。</ref>として、'''緑'''('''みどり''')と、'''緑さす'''(みどりさす)がある。<ref name="Kigosai">{{Cite web |date=2011-08-11 |url=http://kigosai.sub.jp/archives/5094 |title=新緑(しんりょく)初夏 |work=季語と歳時記-きごさい歳時記 |publisher=季語と歳時記の会 |accessdate=2018-02-13}}</ref><ref name="Sogyusha">{{Cite web |author=大澤水牛 |date=2012 |url=http://sogyusha.org/saijiki/02_summer/shinryoku.html |title=新緑(しんりょく) |work=水牛歳時記 |publisher=NPO法人双牛舎 |accessdate=2018-02-13}}</ref> 季語としての「緑」は、新緑を意味する<ref>『[[大辞林]]』</ref>。「緑さす」は、目にも鮮やかな初夏の若葉を通して[[光]]の照り映える様子をいい、[[俳人]]・[[坪内稔典]]は『[[毎日新聞]]』の「季語刻々」で「[[水原秋桜子]]編『新装版俳句小歳時記』では『若葉影が映ること』と定義している」と説明している。
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* 例句1 : '''新緑'''や たましひぬれて <ruby><rb>魚</rb><rt>うを</rt></ruby>あさる ─ [[渡辺水巴]] 『水巴句集』(1915年〈大正4年〉刊)
* 例句2 '''新緑'''や 日光ぶら 濃くなりて ─ [[日野草城]] 『(1956年〈昭和31年〉刊)
* 例句:'''新緑'''や たましひぬれて <ruby><rb>魚</rb><rt>うを</rt></ruby>さる ─ [[渡辺水巴]] 『水巴句集(1915年〈大正4年〉刊)
* 例句3 子の皿に 塩ふる音も '''みどり'''の夜 ─ [[飯田龍太]] 『忘音(1969年〈昭和44年〉刊)
* 例句:'''新緑'''や 日光あぶら 濃くなりて ─ [[日野草城]] 『(1956年〈昭和31年〉刊)
* 例句4 : '''新緑'''の 庭より靴を 脱ぎ上る ─ [[山口誓子]] <ref name="大辞泉" />
* 例句:子の皿に 塩ふる音も '''みどり'''の ─ [[飯田龍太]] 『忘音』(1969年〈昭和44年〉刊)
* 例句:'''新緑'''の 庭より靴を 脱ぎ上る ─ [[山口誓子]] <ref name="大辞泉" />
}}
また、関連季語として、'''[[若葉]]'''(わかば)、'''新樹'''(しんじゅ)があり、前者は新緑の季節の木々の初々しい[[葉]]に、後者は瑞々しい緑に覆われた木々に、それぞれ焦点を当てた季語である<ref name="Sogyusha" />。
また、関連季語として、'''[[若葉]]'''(わかば)、'''新樹'''(しんじゅ)があり、前者は新緑の季節の木々の初々しい[[葉]]に、後者は瑞々しい緑に覆われた木々に、それぞれ焦点を当てた季語である<ref name="Sogyusha" />。
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* 例句1 : あらたふと <ruby><rb>青葉</rb><rt>あをば</rt></ruby>'''若葉'''の 日の光 ─ [[松尾芭蕉]] <ref name="Sogyusha" />([[江戸時代]]前期)
* 例句2 : <ruby><rb>[[富士山|不二]]</rb><rt>ふじ</rt></ruby>ひとつ うづみ残して '''若葉'''かな ─ [[与謝蕪村]] <ref name="Sogyusha" />(江戸時代期)
* 例句:あらたふと <ruby><rb>青葉</rb><rt>あをば</rt></ruby>'''若葉'''の 日の光 ─ [[松尾芭蕉]] <ref name="Sogyusha" />([[江戸時代]]前期)
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== 峰走り ==
== 峰走り ==

2018年2月23日 (金) 12:51時点における版

新緑の水辺/住之江公園にて4月末の撮影。
新緑の日本庭園三千院にて。
新緑の湖畔/再度公園にて4月末の撮影。
日本語「新緑」のイメージに適うであろう日本国外のの風景/スウェーデンストックホルムにて5月末の撮影。
「新緑」の関連季語「若葉」に相応しい、新緑の葉。
新樹、すなわち、目の醒めるような若葉を茂らせる木々。あるいはまた、季語「緑さす」を説明するのにもこの画像は相応しい。

新緑(しんりょく)とは、初夏の頃の若葉のみずみずしい緑色であり[1]、その立ちをも指す[1]枯れしていた木が芽吹いていよいよ鮮やかな緑色の葉を茂らせる、その現象に着目して表した漢語である。

概要

木の種類や場所、地域によって異なるが、日本では主に毎年3月から6月にかけて起こる。また、常緑樹でも新緑はあり、落葉樹のそれより約1か月遅く迎える。例えば、お茶の葉は5月あたりに出る新芽が原料である。

季語

季語しての新緑(しんりょく)は、の季語(初夏の季語)。分類は植物。初夏の初々しい若葉の緑をいう。子季語[* 1]として、みどり)と、緑さす(みどりさす)がある。[2][3] 季語としての「緑」は、新緑を意味する[4]。「緑さす」は、目にも鮮やかな初夏の若葉を通しての照り映える様子をいい、俳人坪内稔典は『毎日新聞』の「季語刻々」で「水原秋桜子編『新装版俳句小歳時記』では『若葉影が映ること』と定義している」と説明している。

  • 例句:新緑や たましひぬれて うをあさる ─ 渡辺水巴 『水巴句集』(1915年〈大正4年〉刊)
  • 例句:新緑や 日光あぶら 濃くなりて ─ 日野草城 『銀』(1956年〈昭和31年〉刊)
  • 例句:子の皿に 塩ふる音も みどりの夜 ─ 飯田龍太 『忘音』(1969年〈昭和44年〉刊)
  • 例句:新緑の 庭より靴を 脱ぎ上る ─ 山口誓子 [1]

また、関連季語として、若葉(わかば)、新樹(しんじゅ)があり、前者は新緑の季節の木々の初々しいに、後者は瑞々しい緑に覆われた木々に、それぞれ焦点を当てた季語である[3]

  • 例句:あらたふと 青葉あをば若葉の 日の光 ─ 松尾芭蕉 [3]江戸時代前期)
  • 例句:不二ふじひとつ うづみ残して 若葉かな ─ 与謝蕪村 [3](江戸時代中期)
  • 例句:星屑ほしくづ鬱然うつぜんとして 新樹しんじゆ ─ 日野草城 [1]

峰走り

峰走り(みねばしり)とは、先に新緑が山の麓から頂へ駆け上がってゆく様子を、口に紅葉が山頂や稜線から麓へと駆け下りてゆく様子を表わした、日本語表現である。それぞれに、新緑の峰走り紅葉の峰走りということが多い。日本における新緑の峰走りは、特にブナを主体とした植生のそれが見事なことで知られ、残雪、顔を出した土のに、目にも鮮やかなが加わって、他の季節には無い特別な美的景観を出現させる。こういった景観は日本画の画題になることも多い。

脚注

注釈

  1. ^ ある主要な季語について別表現と位置付けされる季語を、親子の関係になぞらえて、親季語に対する「子季語」という。「傍題」ともいうが、傍題は本来「季題」の対義語である。

出典

  1. ^ a b c d 大辞泉
  2. ^ 新緑(しんりょく)初夏”. 季語と歳時記-きごさい歳時記. 季語と歳時記の会 (2011年8月11日). 2018年2月13日閲覧。
  3. ^ a b c d 大澤水牛 (2012年). “新緑(しんりょく)”. 水牛歳時記. NPO法人双牛舎. 2018年2月13日閲覧。
  4. ^ 大辞林

関連項目