「初等関数」の版間の差分
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初等関数の[[導関数]]はつねに初等関数になるが、初等関数の[[原始関数|不定積分]]や初等関数を用いた[[微分方程式]]の解なども一般に初等関数にはならない{{Sfn|竹之内脩|相葉伸|青木栄一|青木淳一|2005}}。例えば、次の二つの不定積分 |
初等関数の[[導関数]]はつねに初等関数になるが、初等関数の[[原始関数|不定積分]]や初等関数を用いた[[微分方程式]]の解なども一般に初等関数にはならない{{Sfn|竹之内脩|相葉伸|青木栄一|青木淳一|2005}}。例えば、次の二つの不定積分 |
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:<math>\int \frac{dx}{\sqrt{1-x^2}}, |
:<math>\begin{align} |
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f(x) = \int \frac{dx}{\sqrt{1-x^2}},\\ |
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g(x) = \int \frac{dx}{\sqrt{1-x^4}} |
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\end{align}</math> |
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は似た形であるにもかかわらず、前者は解けて Arcsin ''x'' + ''C'' となるが、後者は初等関数の範囲では解けない。 |
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は似た形であるにもかかわらず、{{math|''f'' (''x'')}} は解けて Arcsin ''x'' + ''C'' となるが、{{math|''g'' (''x'')}} は初等関数の範囲では解けない。 |
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{{math|''g'' (''x'')}} は、[[特殊関数]]である[[楕円積分]]を用いて F(Arcsin ''x'', −1) + ''C'' と表示される。 |
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初等関数の[[逆関数]]は必ずしも初等関数になるとは限らない。例えば、5次以上の[[多項式]] ''P''(''x'') に対し、方程式 ''P''(''x''<sub>0</sub>) = 0 の解は一般には初等関数を用いて表せないことが[[ニールス・アーベル]]によって証明されている。従って ''P''(''x'') の逆関数 ''P''<sup>−1</sup>(''x'') が初等関数であれば、''x''<sub>0</sub> = ''P''<sup>−1</sup>(0) と表せてしまうから、''P''<sup>−1</sup>(''x'') は初等関数ではない。最近、一部の数学者たちによって、''P''<sup>−1</sup>(''x'') は[[楕円関数]]を用いて表示できることがわかってきている。 |
初等関数の[[逆関数]]は必ずしも初等関数になるとは限らない。例えば、5次以上の[[多項式]] ''P''(''x'') に対し、方程式 ''P''(''x''<sub>0</sub>) = 0 の解は一般には初等関数を用いて表せないことが[[ニールス・アーベル]]によって証明されている。従って ''P''(''x'') の逆関数 ''P''<sup>−1</sup>(''x'') が初等関数であれば、''x''<sub>0</sub> = ''P''<sup>−1</sup>(0) と表せてしまうから、''P''<sup>−1</sup>(''x'') は初等関数ではない。最近、一部の数学者たちによって、''P''<sup>−1</sup>(''x'') は[[楕円関数]]を用いて表示できることがわかってきている。 |
2016年3月26日 (土) 15:58時点における版
初等関数(しょとうかんすう)とは、実数または複素数の関数で、代数関数、指数関数、対数関数、三角関数、逆三角関数および、それらの合成関数を作ることを有限回繰り返して得られる関数のことである[1][2]。ガンマ関数、楕円関数、ベッセル関数、誤差関数などは初等関数でない[1][2]。初等関数のうちで代数関数でないものを初等超越関数という[1][2]。双曲線関数やその逆関数も初等関数である[1]。
初等関数の導関数はつねに初等関数になるが、初等関数の不定積分や初等関数を用いた微分方程式の解なども一般に初等関数にはならない[2]。例えば、次の二つの不定積分
は似た形であるにもかかわらず、f (x) は解けて Arcsin x + C となるが、g (x) は初等関数の範囲では解けない。 g (x) は、特殊関数である楕円積分を用いて F(Arcsin x, −1) + C と表示される。
初等関数の逆関数は必ずしも初等関数になるとは限らない。例えば、5次以上の多項式 P(x) に対し、方程式 P(x0) = 0 の解は一般には初等関数を用いて表せないことがニールス・アーベルによって証明されている。従って P(x) の逆関数 P−1(x) が初等関数であれば、x0 = P−1(0) と表せてしまうから、P−1(x) は初等関数ではない。最近、一部の数学者たちによって、P−1(x) は楕円関数を用いて表示できることがわかってきている。
脚注
- ^ a b c d 加藤周一 et al. 2007.
- ^ a b c d 竹之内脩 et al. 2005.
参考文献
- 加藤周一、伊藤正男、今西錦司、宇沢弘文『世界大百科事典』(改訂新版)平凡社、2007年。ISBN 978-4582034004。
- 竹之内脩、相葉伸、青木栄一、青木淳一『スーパーニッポニカ プロフェッショナル』(DVD-ROM版)小学館、2005年。ISBN 978-4099067458。