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「ルクセンブルク語」の版間の差分

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ルクセンブルクではドイツ語系の言語が話される一方で[[フランス語]]の使用地域にも近く、法令などの公文書には主にフランス語が使われ、日常語としてはドイツ語が一般に使われる。このルクセンブルクで使用される「ドイツ語方言」を、「国語」として整備したのが「ルクセンブルク語」である。[[1984年]]にルクセンブルクの公用語として採用された。
== 概要 ==
ルクセンブルクではドイツ語系の言語が話される一方で[[フランス語]]の使用地域にも近く、法令などの公文書には主にフランス語が使われ、日常語としてはドイツ語が一般に使われる。このルクセンブルクで使用される「ドイツ語方言」を、「国語」として整備したのがこの「ルクセンブルク語」である。1984年にルクセンブルクの公用語として採用された。


ルクセンブルク語はドイツ語の単なる一方言ではなく、語彙などが異なっている。フランス語由来の外来語を多く含むのがその理由の一つである。通常のドイツ語を会話する者がルクセンブルク語を理解することは比較的簡単であるが、フランスの影響のため、それを適切に話すのは難しいと言われる。
[[ベルギー]]、[[フランス]]、[[ドイツ]]分的に使用され、[[アメリカ合衆国|米国]]や[[ルーマニア]]の[[トランシルバニア]]地方、この地域からの移民によって使用される。話者は全世界で30万人である。なお、日本語の文献では、(日本で一般的な「ルクセンブルク」と語形がやや異なるが)原音に近い'''レッツェブルグ語'''あるいは単に'''レッツェブルギッシュ'''などとして紹介されることもある。


[[ベルギー]]の[[リュクサンブール州]][[アルロン行政区]]と[[リエージュ州]][[ブルク=ロイラント]]および[[ザンクト・フィート]]周辺地域、[[フランス]][[ロレーヌ地域圏]][[モゼル県]]北西部、[[ドイツ]][[ラインラント=プファルツ州]]西の[[ビットブルク]]、[[トリーア]]周辺地域で使用されるほか、[[アメリカ合衆国|米国]]や[[ルーマニア]]の[[トランシルバニア]]地方においても、これらの地域からの移民によって使用される。話者は全世界で30万人である。なお、日本語の文献では、(日本で一般的な「ルクセンブルク」と語形がやや異なるが)原音に近い'''レッツェブルグ語'''あるいは単に'''レッツェブルギッシュ'''などとして紹介されることもある。
しかし、ルクセンブルク語はドイツ語の単なる一方言ではなく、語彙などが異なっている。フランス語由来の外来語を多く含むのがその理由の一つである。例えば、バス運転手はBuschauffeurであるが、これはドイツ語のBusfahrerよりもフランス語のChauffeur de busに近い。通常のドイツ語を会話する者がルクセンブルク語を理解することは比較的簡単であるが、フランスの影響のため、それを適切に話すのは難しいと言われる。


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いくつかの単語は、高地ドイツ語と異なりながら、他のドイツ語方言に一致する。例えば「じゃがいも」は、ルクセンブルク語でGromperであるが、これは標準ドイツ語ともフランス語とも一致しない。Fixfeier(マッチ)も同様である。


==語彙==
ルクセンブルクにおいて、公文書等にはフランス語が使われるが、この言語は新聞や小学校で多く使われる。
ルクセンブルク語は多くのフランス語を借用している。例としてバスの運転手を指す語は Buschauffeur であるが、これはドイツ語では Busfahrer でありフランス語では chauffeur de bus である。いくつかの語は標準ドイツ語と異なるが、ドイツ語の方言に対応するものがある。例えば、じゃがいも(複数)は Gromperen、ドイツ語では Kartoffeln。他にルクセンブルク語特有の語もある。


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[[image:Heutige deutsche Mundarten.PNG|thumb|400px|none|現代の自然言語としてのドイツ語の方言地図。標準ドイツ語の基礎になった中部ドイツ語に含まれるようである。]]
|-
! '''日本語'''
! '''ルクセンブルク語'''
! '''標準ドイツ語'''
! '''フランス語'''
|-
| こんにちは || moien || guten Morgen, guten Tag || bonjour
|-
| さようなら || äddi || ade || adieu
|-
| どうぞ || wann ech gelift || bitte || s'il vous plaît
|-
| ありがとう || merci || danke || merci
|-
| ルクセンブルク || Lëtzebuerg || Luxemburg, Lützelburg || Luxembourg
|-
| はい || jo || ja || oui
|-
| いいえ || nee(n) || nein || non
|-
| しばしば || dacks || oft || souvent
|-
| 清潔 || propper || sauber || propre
|-
| 傘 || Prabbli, Präbbeli || Regenschirm || parapluie
|-
| [[フォーク (食器)]] || Forschett || Gabel || fourchette
|-
| 子供 || Kanner || Kinder || enfants
|-
| 通り、街路 || Strooss || Straße || rue
|-
| 情報 || Informatioun || Information || information
|-
| 紙 || Pabeier || Papier || papier
|-
| [[ナンシー]] || Nanzeg || Nancy, Nanzig || Nancy
|-
| [[パリ]] || Paräis || Paris || Paris
|-
| [[ブリュッセル]] || Bréissel || Brüssel || Bruxelles
|-
| たぶん || Vläicht || vielleicht || probablement
|-
| [[ジャガイモ]] || Gromper || Kartoffel || pomme de terre
|-
| [[マッチ]] || Fixfeier || Streichholz, Zündholz || allumette
|-
| ドイツ語/フランス語/英語を話しますか? || Schwätzt dir Däitsch/Franséisch/Englesch? || Sprechen Sie Deutsch/Französisch/Englisch? || Vous parlez allemand/français/anglais ?
|}


==表現==
== 脚注 ==
<references />
* Jo. はい
* Neen. いいえ
* Villäicht. たぶん
* Moien. こんにちは
* Äddi. さようなら
* Merci. ありがとう
* Watgelift? ないし Ëntschëllegt? すみません
* Schwätzt dier Däitsch/Franséisch/Englesch? ドイツ語/フランス語/英語を話しますか?


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
*[[中部ドイツ語]]
*[[中部ドイツ語]]
*[[モーゼルフランケン語|モーゼルフランク方言]]
*[[モーゼルフランケン方言]]
*[[:de:Siebenbürger Sachsen|ジーベンビュルゲン・ザクセン語]]([[ルーマニア]][[トランシルヴァニア]]地方で使用される[[トランシルヴァニア・ザクセン人]](中部ドイツ語に属する[[フランケン語]]の系統)の言語)
*{{仮リンク|ジーベンビュルゲン・ザクセン語|de|Siebenbürger Sachsen}}([[ルーマニア]][[トランシルヴァニア]]地方で使用される[[トランシルヴァニア・ザクセン人]](中部ドイツ語に属する[[フランケン語]]の系統)の言語)
*[[ルクセンブルク・フランス語]]


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
60行目: 108行目:
* [http://shef.ac.uk/luxembourg-studies Centre for Luxembourg Studies], [[シェフィールド]]
* [http://shef.ac.uk/luxembourg-studies Centre for Luxembourg Studies], [[シェフィールド]]


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[[Category:西ゲルマン語群]]
[[Category:西ゲルマン語群]]

2024年6月1日 (土) 16:49時点における最新版

ルクセンブルク語
Lëtzebuergesch
発音 IPA: ˈlətsəbuəjəʃ
話される国 ルクセンブルクの旗 ルクセンブルク
ベルギーの旗 ベルギー
フランスの旗 フランスロレーヌ
ドイツの旗 ドイツ
地域 西ヨーロッパ
話者数 30万人
言語系統
表記体系 ラテン文字
公的地位
公用語 ルクセンブルクの旗 ルクセンブルク
少数言語として
承認
ワロン地域
統制機関 Conseil Permanent de la Langue Luxembourgeoise (CPLL)
言語コード
ISO 639-1 lb
ISO 639-2 ltz
ISO 639-3 ltz
消滅危険度評価
Vulnerable (Moseley 2010)
テンプレートを表示

ルクセンブルク語Lëtzebuergesch, 標準ドイツ語: Luxemburgisch, フランス語: Luxembourgeois)は、ルクセンブルクの国語、公用語のひとつ。

ルクセンブルク語は、もともと西ゲルマン語群に分類されるドイツ語高地ドイツ語)のうち、中部ドイツ語に属するモーゼル・フランケン方言の一方言である。

ルクセンブルクではドイツ語系の言語が話される一方でフランス語の使用地域にも近く、法令などの公文書には主にフランス語が使われ、日常語としてはドイツ語が一般に使われる。このルクセンブルクで使用される「ドイツ語方言」を、「国語」として整備したのが「ルクセンブルク語」である。1984年にルクセンブルクの公用語として採用された。

ルクセンブルク語はドイツ語の単なる一方言ではなく、語彙などが異なっている。フランス語由来の外来語を多く含むのがその理由の一つである。通常のドイツ語を会話する者がルクセンブルク語を理解することは比較的簡単であるが、フランス語の影響のため、それを適切に話すのは難しいと言われる。

ベルギーリュクサンブール州アルロン行政区リエージュ州ブルク=ロイラントおよびザンクト・フィート周辺地域、フランスロレーヌ地域圏モゼル県北西部、ドイツラインラント=プファルツ州西部のビットブルクトリーア周辺地域で使用されるほか、米国ルーマニアトランシルバニア地方においても、これらの地域からの移民によって使用される。話者は全世界で30万人である。なお、日本語の文献では、(日本で一般的な「ルクセンブルク」と語形がやや異なるが)原音に近いレッツェブルグ語あるいは単にレッツェブルギッシュなどとして紹介されることもある。

現代の自然言語としてのドイツ語の方言地図。標準ドイツ語の基礎になった中部ドイツ語に含まれる。

語彙[編集]

ルクセンブルク語は多くのフランス語を借用している。例としてバスの運転手を指す語は Buschauffeur であるが、これはドイツ語では Busfahrer でありフランス語では chauffeur de bus である。いくつかの語は標準ドイツ語と異なるが、ドイツ語の方言に対応するものがある。例えば、じゃがいも(複数)は Gromperen、ドイツ語では Kartoffeln。他にルクセンブルク語特有の語もある。

日本語 ルクセンブルク語 標準ドイツ語 フランス語
こんにちは moien guten Morgen, guten Tag bonjour
さようなら äddi ade adieu
どうぞ wann ech gelift bitte s'il vous plaît
ありがとう merci danke merci
ルクセンブルク Lëtzebuerg Luxemburg, Lützelburg Luxembourg
はい jo ja oui
いいえ nee(n) nein non
しばしば dacks oft souvent
清潔 propper sauber propre
Prabbli, Präbbeli Regenschirm parapluie
フォーク (食器) Forschett Gabel fourchette
子供 Kanner Kinder enfants
通り、街路 Strooss Straße rue
情報 Informatioun Information information
Pabeier Papier papier
ナンシー Nanzeg Nancy, Nanzig Nancy
パリ Paräis Paris Paris
ブリュッセル Bréissel Brüssel Bruxelles
たぶん Vläicht vielleicht probablement
ジャガイモ Gromper Kartoffel pomme de terre
マッチ Fixfeier Streichholz, Zündholz allumette
ドイツ語/フランス語/英語を話しますか? Schwätzt dir Däitsch/Franséisch/Englesch? Sprechen Sie Deutsch/Französisch/Englisch? Vous parlez allemand/français/anglais ?

脚注[編集]


関連項目[編集]

外部リンク[編集]