低家賃賃貸住宅の"コミュニティ所有"という発想 : グラスゴーにおける公営住宅のコミュニティ移管事業の考察

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タイトル別名
  • Examining the Concept of "Community Ownership" of Public Housing : From the Case of Glasgow
  • テイヤチン チンタイ ジュウタク ノ"コミュニティ ショユウ"ト イウ ハッソウ : グラスゴー ニ オケル コウエイ ジュウタク ノ コミュニティ イカン ジギョウ ノ コウサツ

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抄録

本研究は、グラスゴー市の公営住宅民営化事業をケーススタディとして、近年の英国で住宅政策の一つの潮流となっている「コミュニティ所有」という概念について検討し、日本の住宅政策への示唆を探るものである。グラスゴー市は、住宅事業に多額の負債を抱え、何らかの対策を講じることが急務であったことに加え、過去にコミュニティベースで活動する小規模な非営利団体に対する公営住宅の移管に一定の評価を得られたことから、市が抱える85,000戸の公営住宅の民営化にあたり、2段階移管の実施を打ち出した。第1段階では市全体のストックをGHAという市全域を管轄する住宅協会に、第2段階ではコミュニティベースで活動する住宅協会(CBHA)に段階的に移管するという構想である。GHAとCBHAの考え方の相違、借家人の認知度の低さ、政治的駆け引き等、多くの課題はあるものの、CBHAに移管された住宅が活発な住民参加の元で管理され、住民が抱える多様な生活課題への対応も始まっている各コミュニティの現状を見ると、生活の大切な基盤である住宅の所有・管理が、身近なコミュニティレベルで実施される当該取組みは、日本に とっても検討の価値があるものと考える。

収録刊行物

  • 現代福祉研究

    現代福祉研究 12 165-184, 2012-03-01

    法政大学現代福祉学部現代福祉研究編集委員会

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