神経難病ディケアを試みて

DOI
  • 羽崎 恵子
    国立療養所犀潟病院 リハビリテーション科
  • 近藤 隆春
    国立療養所犀潟病院 リハビリテーション科
  • 猪爪 陽子
    国立療養所犀潟病院 リハビリテーション科
  • 小山 英央
    国立療養所犀潟病院 リハビリテーション科
  • 朝日 達也
    国立療養所犀潟病院 リハビリテーション科
  • 玉虫 俊哉
    国立療養所犀潟病院 リハビリテーション科
  • 小林 量作
    新潟医療福祉大学 医療技術学部理学療法学科

書誌事項

タイトル別名
  • ディケアの紹介とアンケート調査より

抄録

【目的】当院では本年4月より、病院における神経難病ディケアを立ちあげ対応してきた。本研究では、ディケアの実際を紹介すると共に、その効果および今後の課題についてアンケート調査を行ったので考察を加え報告する。【ディケアの紹介】ディケアへの送迎は家族が4割、非営利団体の送迎サービスが3割、その他が3割である。週2回、神経内科医師、看護師、理学療法士、作業療法士、ソーシャルワーカー、ボランティアのスタッフで行っている。1日の流れは、朝9時30分より医師の診察を受け、集団体操、レクリエーションで体を動かし、午後は作業療法を行い、1日のまとめをして3時30分に解散する。【対象と方法】対象は、神経難病患者40名(男性21名、女性19名)、パーキンソン病35名、脊髄小脳変性症4名、多発性硬化症1名、年齢:26歳から86歳、平均年齢:48.8±10.8歳、うち60歳以上32名である。アンケートは、多肢選択法を用い6つの選択肢から1つを選択する方法をとった。アンケートの内容は、身体機能面、自主性、社会性、精神面、病気の受容の5つの項目とし、さらにディケアに対する意見、要望を利用者、および家族に自由記載してもらった。アンケートは利用者に配布し、後日回収した。【結果】アンケート調査の回収率は90%であった。身体機能面、自主性については、約7割が「大変」・「すこし」良くなったと回答した。社会性については、約9割がディケアに来ることが、「大変」・「少し」外出するきっかけになっていると回答した。精神面については、約8割がディケアで同じ病気を持つ仲間と過ごすことで「大変」・「少し」精神的な不安が減少したと回答した。病気の受容の変化については、約8割が以前に比べ、「大変」・「少し」病気を理解し受け入れられるようになったと回答した。自由記載では、自宅で動きが良くなった、ディケアを楽しみにしている、積極的になったなどの意見のほか、個々の体調や障害レベルにあった体操、作業をしてほしい、ディケアへの送迎は家族が負担に感じているので対策を考えてほしいなどの要望があった。【考察】今回のアンケート結果より、大多数の利用者がディケアを利用することで、日常生活が活性化していると受け止めている。特に興味深いのは、同じ疾患をもつ者が集まることで、将来に対する不安が取り除かれ、疾患に対する理解も深まるという点である。このように集団による影響がプラスに作用する反面、個々の対応を求める要望もある。今後の課題としては、集団の効果を生かしながら、利用者が満足するよう個別性を考慮した理学療法、作業療法を模索することである。また、病院への送迎が、利用者の負担になっており、病院としての送迎システムの確立や非営利団体の送迎サービスの啓蒙、及び市町村などの行政機関への働きかけなど検討していきたい。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680541527424
  • NII論文ID
    130004577007
  • DOI
    10.14900/cjpt.2002.0.358.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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