台湾で地震 沖縄に一時津波警報 避難中の転倒などで4人けが

3日午前、台湾付近を震源とする大きな地震があり、気象庁は沖縄県の宮古島・八重山地方と沖縄本島地方に一時、津波警報を発表しました。

気象庁は今後1週間程度、特に2、3日ほどは同じ程度の規模の地震が起きるおそれがあり、津波を伴う可能性もあるとして注意を呼びかけています。

また沖縄県によりますと、避難中の転倒などで、県内ではあわせて4人が軽いけがをしたということです。

気象庁によりますと、3日午前8時58分ごろ台湾付近の深さ23キロを震源とするマグニチュード7.7の地震があり、気象庁は宮古島・八重山地方と、沖縄本島地方に津波警報を発表しました。

先島諸島の各地に津波が到達し
▽与那国島と宮古島で30センチ
▽石垣島で20センチ
の津波を観測しました。

その後、津波警報は注意報に切り替わり、正午にすべて解除されました。

また、この地震で
▽与那国島で震度4の揺れを観測したほか
▽石垣島と竹富町の西表島と黒島、波照間島で震度3
を観測しました。

メカニズムについて気象庁は、台湾付近ではプレートの沈み込みが複雑で詳細は分析できていないとした上で、「逆断層」と呼ばれるタイプの地震だとしています。

気象庁は「今後1週間程度、特に2、3日ほどは同じ程度の規模の地震が起きるおそれがある。津波が発生する可能性もあるため、注意してほしい」と呼びかけています。

沖縄に津波警報 2011年3月11日以来

気象庁によりますと、沖縄県の沿岸に津波警報が発表されたのは、2011年3月11日の東北地方太平洋沖を震源とする巨大地震で太平洋沿岸を中心とした広い範囲に出されて以来です。

《被害関連》

沖縄県で4人が軽いけが

沖縄県のまとめによりますと、県内ではあわせて4人が軽いけがをしたということです。

このうち、浦添市の80代の男性と本部町の90代の女性が、それぞれ避難中に転倒して軽いけがをしたということです。

このほか、県には学校関係者2人も軽いけがをしたという報告があったということです。

また、石垣市平得地区の集合住宅で水道管からの漏水が確認されるなどしていて、県が詳しい被害状況の確認を進めています。

今回の地震について、玉城知事は「台湾と長い交流の歴史を有する沖縄県を代表して、お亡くなりになりました方とそのご家族をはじめとする関係者の皆様に謹んでお悔やみを申し上げるとともに、負傷された方や家屋が倒壊した方には心よりお見舞いを申し上げます」とコメントしています。

その上で「先島地域では、県民や観光客の皆様が情報を自ら判断し、迅速に避難していただいたと聞いています。今後、同様の地震が発生する可能性もありますので、県民の皆様、沖縄に来られている皆様には、引き続き気象や地震などの情報に留意され、危険を感じた際には避難していただきますようよろしくお願いします」と呼びかけています。

沖縄県警察本部に渋滞に関する通報(正午)

沖縄県警察本部によりますと、津波警報に関連する110番通報は正午までに42件あったということです。交通渋滞に関する通報がほとんどで、被害の情報は寄せられていないということです。

沖縄県警察本部は、津波注意報の解除を受けて午後1時から運転免許センターの業務を再開するなど、通常の体制に移行しました。

また、津波警報と注意報が出ている間、沿岸部に近い名護警察署、宜野湾警察署、本部警察署は、一部の機能を民間の施設などに移して業務を継続していましたが、こちらも通常の体制に戻りました。

防衛省 6つの島で被害確認されず(午前10時45分)

防衛省によりますと、自衛隊の航空機が沖縄県の上空から状況を確認したところ、午前10時45分現在、与那国島と西表島、石垣島、宮古島、多良間島、久米島では、津波や地震の揺れによるものとみられる目立った被害は確認されていないということです。

第11管区海上保安部 船舶などに注意喚起

沖縄の海を管轄している第11管区海上保安部は、ヘリコプター2機と航空機2機で沖縄県内の海域での被害状況を調査しているほか、巡視船と巡視艇あわせて17隻が出て、船舶などに対して注意喚起を行っているということです。

午前10時45分の時点で、被害などは確認されておらず、引き続き警戒にあたるということです。

竹富町 被害なし(午前10時半)

沖縄県の竹富町によりますと、午前10時半の時点で被害の情報は入っていないということです。竹富町は9つの有人島を抱えていて、各島では防災行政無線で高台に避難するよう呼びかけているということです。

竹富島と黒島は土地が低い場所が多く、少しでも高いところに避難するよう呼びかけています。

沖縄県 災害対策本部を設置(午前10時9分)

沖縄県は、午前10時9分に玉城知事をトップとする災害対策本部を設置しました。

石垣市 八重山警察署「現時点で被害なし」(午前9時25分)

津波警報の発表を受けて、沖縄県石垣市にある八重山警察署によりますと、午前9時25分時点で沿岸部周辺の安全が確保されている場所にパトカーを配備し、住民に向けて避難を呼びかけているということです。

現時点では被害などの情報は入っていないということです。

石垣市消防本部 避難呼びかけ

津波警報の発表を受けて、沖縄県の石垣市消防本部は、防災行政無線で沿岸部の住民に向けて避難を呼びかけているということです。

宮古島市消防本部 沿岸部で避難呼びかけ(午前9時15分)

津波警報の発表を受けて沖縄県の宮古島市消防本部は、午前9時15分時点で、緊急車両を宮古島の沿岸部に出動させて、地域の住民に向けて避難を呼びかけているということです。

与那国町役場 避難を呼びかけ

津波警報が出されている与那国町役場は、町民に安全な場所に避難するよう呼びかけるとともに、職員も高台などへの避難を始めているということです。

与那国町 災害対策本部 立ち上げ情報収集

与那国町の役場によりますと、現段階では被害などの情報は入っておらず、災害対策本部を立ち上げて情報の収集にあたっているということです。

官邸連絡室を設置(午前9時1分)

津波警報が出されたことを受けて、政府は午前9時1分に総理大臣官邸の危機管理センターに官邸連絡室を設置して情報収集を進め、警戒にあたっています。

沖縄 過去の津波被害

沖縄県付近では過去にも繰り返し津波による被害が発生しています。

1771年に起きた「八重山地震津波」では津波が沖縄県の八重山諸島や宮古諸島に押し寄せ、2000戸の家屋が流れ、1万2000人が死亡したと言われています。

この時の津波の高さは古い記録やその後の研究から海岸付近で10メートル程度あったものとみられます。

また、1938年・昭和13年に宮古島の北で起きたマグニチュード7.2の地震では、地震発生のおよそ10分後、宮古島平良港に高さおよそ1.5mの津波が押し寄せ、桟橋が流失するなどの被害が出ました。