タケノコのアク抜きには大根おろし!プロがおすすめする簡単なやり方、科学的にも正しかった
2023年5月9日 16時00分
4日の本紙朝刊の発言欄で、タケノコのアク抜きに大根おろしを使うという横浜市の長沢弘明さん(76)の投稿を掲載した。一般的な米ぬかを使う方法に比べ、簡単で短時間で済む。考案したのは、日本料理界を代表する料理人の野崎洋光 さん(70)。面倒なアク抜きを解消する方法は、いかにして生まれたのか。(瀬野由香)
*野崎さんのアク抜きの方法とタケノコを使った料理レシピはこちら。
◆米ぬか、一流料理人でも苦戦
「たまたまだったんです」。そう明かす野崎さんは、東京・南麻布の名店「分 とく山」の総料理長を務める一方、テレビや雑誌などで家庭でも簡単においしく和食を作れるコツを紹介してきた。
米ぬかでタケノコのアクを抜く場合、ゆでて一晩漬けておく。「僕らも長年、米ぬかでやってきたけど、ゆでてもアクは十分抜けないんですよ」。他にいい方法がないか、毎年のように試行錯誤を繰り返した。からしや重曹を使ってみたこともあった。
10年ほど前、店の裏でタケノコを採ったとき、ちょうど調理場にあった大根おろしにそのまま漬けてみた。塩漬けウニのアク抜きに使うことがあったからだ。
◆食感シャキシャキ、風味さわやか
いい具合にえぐみが抜けていた。ゆでていないのでシャキシャキとした食感があり、さわやかな風味も残っていた。
一瞬のひらめきだったが、後に専門家が検証すると、科学的にも効果が証明されたという。大根おろしに漬けておくと、タケノコのえぐみ成分であるホモゲンチジン酸が減少していた。
「大根おろしの効果を調べた大学の先生が『ほんと参った』って。今でも覚えていますよ」
ただ、野崎さんは満足していなかった。「大根おろしだけでは、えぐみは抜けきらないんです」。改良を重ね、2年前からは大根おろしに米ぬかを加えて、さらにえぐみを取り除く方法に進化させた。
「僕ら科学者じゃないからホモゲンチジン酸なんて分からない。でも、もっとタケノコをおいしくするにはどうしたらいいだろうかっていう意識が常にあるんですよ」。料理人としての自負をのぞかせた。
◆野崎さんのタケノコのアク抜きの方法
(1)タケノコの穂先を斜めに切り落とし、切り口から縦に包丁を入れ、皮を全てむく。根元の硬い部分を取り除き、ボウルに入るぐらいの大きさに切る。
(2)皮ごとおろした大根と、同量の水に1%の塩を加え、タケノコをひたひたに漬かるぐらいにして1時間ほど浸す。皮の付近に酵素が多いため、大根は皮ごとおろすのがお薦め。塩を入れるとアクが抜けやすくなる。
(※さらにアクを抜きたいなら)1リットルの水に米ぬか25グラムを入れて50度に温める。大根おろしに漬けておいたタケノコを洗って入れ、20分ほど浸す。いりぬかは加熱されて酵素が死んでいるので生のぬかを使う。
(3)アクを抜いたタケノコを水から加熱。沸騰したら火を止め、ザルに上げて冷ます。保存容器に入れておけば、冷蔵庫で3日間ほど保存できる。
◆野崎さんのタケノコを使った料理のレシピ
【タケノコご飯】(材料)4人分
タケノコ 小1本
油揚げ 1枚
木の芽 適量
米 2合
▽水 300cc
▽薄口しょうゆ 30cc
▽酒 30cc
▽塩 小さじ 1/2
タケノコ 小1本
油揚げ 1枚
木の芽 適量
米 2合
▽水 300cc
▽薄口しょうゆ 30cc
▽酒 30cc
▽塩 小さじ 1/2
(1) 米を洗い水に15分浸し、ザルに上げ15分置く。
(2) タケノコは厚さ1センチぐらいの食べやすい大きさに切る。油揚げはフードプロセッサーにかけ細かくし、熱湯をかけて油抜きをし、きつく絞る(包丁で細かく刻んでもよい)。
(3) 炊飯器に米、タケノコ、油揚げ、▽を加えて炊く。
(2) タケノコは厚さ1センチぐらいの食べやすい大きさに切る。油揚げはフードプロセッサーにかけ細かくし、熱湯をかけて油抜きをし、きつく絞る(包丁で細かく刻んでもよい)。
(3) 炊飯器に米、タケノコ、油揚げ、▽を加えて炊く。
※ポイント!油揚げを米粒になじむよう細かくすることで、タケノコの食感が際立つ。
【タケノコの天ぷら】(材料)2人分
タケノコ 小1本
▽薄力粉 80g
▽水 150cc〜160cc
▽卵黄 小1個
タケノコ 小1本
▽薄力粉 80g
▽水 150cc〜160cc
▽卵黄 小1個
(1) ▽の衣の材料を全て混ぜ合わせる。
(2) 水気をよくきったタケノコを食べやすい大きさに切り、薄力粉をまぶす。衣にくぐらせて170度で少し色づく程度に揚げる。
(2) 水気をよくきったタケノコを食べやすい大きさに切り、薄力粉をまぶす。衣にくぐらせて170度で少し色づく程度に揚げる。
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