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川口クルド人訴訟で初弁論、原告代理人は保守系弁護士 「左派系に世論作られたくない」

「移民」と日本人

クルド人らによる提訴の記者会見に同席した岩本拓也弁護士(左端)=3月19日、東京都千代田区(関勝行撮影)
クルド人らによる提訴の記者会見に同席した岩本拓也弁護士(左端)=3月19日、東京都千代田区(関勝行撮影)

埼玉県川口市などに住むトルコの少数民族クルド人ら11人がX(旧ツイッター)への投稿で名誉を傷つけられたとして、フリージャーナリストの石井孝明氏に500万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が23日、東京地裁で開かれた。外国人がジャーナリスト個人を集団で訴えた異例の裁判。原告代理人を務めるのは「保守系」の弁護士で、自民党の参院議員らから依頼されたという。

この弁護士は第一東京弁護士会に所属する岩本拓也氏。今回の弁護について、ネット上などでは、不法外国人の受け入れに賛成したり、外国人の人権ばかりを強調するリベラル系ではないかと批判されていたが、「私は保守です」と語る。

東京都内に同姓同名の弁護士がもう一人いるが、岩本氏は豊島区内で開業、DV防止法などを理由にした「実子連れ去り問題」や物流業界の労働問題が専門で保守系の全国団体の支部長も務めている。今回は、支援している自民党参院議員から「クルド人の話を聞いてくれないか」と依頼されたのがきっかけだったという。

「川口へ行ってみると、無法者とそうでないクルド人が十把一からげに語られていて、まじめに住んでいるクルド人が生きづらい状況になっていた」。その後、今回の原告の一人で「日本クルド文化協会」の事務局長らが事務所へ相談にきたという。

岩本氏は代理人を引き受けた理由について「左派系の弁護士に『強制送還はかわいそうだ』などという世論を作られることを避けたい。外国人問題を政治利用されたくなかった」と説明。「クルド人たちには『無法者のリストを作って警察に提出し強制送還するべきだ』と話している」と語った。

ただ、今回提訴したクルド人らの一部は、難民認定申請中で入管施設への収容を一時的に解かれた不法滞在状態の仮放免者だが、岩本氏は「国がクルド人を仮放免のようなあいまいな立場に置いていることが原因。地域住民もあらぬ不信感を抱きやすく、クルド人も就労できないのに在留するため不法就労になる」。

来月10日に控える改正入管難民法の施行で難民申請中の強制送還停止が原則2回までに制限されることについては「よいことだと思う。国は粛々とやってほしい」と言う。

また、政府が進める外国人労働者受け入れ拡大の政策については「反対だ。労働力が足りないからと言って安い外国人労働者を入れると、日本人の平均賃金を下げることになる。治安も悪くなる。そんな日本にしたくない」。

ただ、今回の訴訟をめぐっては「すべての在日クルド人が違法行為に及んでいるかのような投稿は度を超しているのではないか」と話した。

この日の初弁論には、原告のクルド人2人が岩本氏とともに出廷。被告側は代理人がオンラインで出席、法廷外の弁論準備手続きに入ることが確認され、閉廷した。

【第1報】日本人ジャーナリストを異例の提訴「人権侵害だ」500万円請求

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