本研究では, 沿岸域の持続可能な開発と浸食対策事業への提案をするために鹿島灘
海岸
の第四紀地質, 水理, 堆積物調査資料の解析によってミティゲーション概念を基本とする堆積環境影響評価を行った.
海岸
は, 海浜地形, 粒度分析, 砂粒組成, フルード数から次のように分類された. 1. 凹地型
海岸
, 2. バー型
海岸
, 3. カスプ型
海岸
である.
凹地型
海岸
は浸食傾向にあるが, 一方では漂砂の供給源になっている.
バー型
海岸
は, 波浪営力の大きい冬季に沖側へ運搬された堆積物が夏の静穏期に,
海岸
に戻る過程にあると見られ, 季節的な変動の中で安定した
海岸
である.
カスプ型
海岸
のうち, 緩勾配の
海岸
は, 静穏域となっており, 安定または堆積傾向の
海岸
である. 比較的急勾配の
海岸
は, 凹地型の特徴も有しており, 安定または浸食傾向の
海岸
である.
浸食傾向の強い
海岸
では, 湾入率を大きくすることによって, 安定した
海岸
へ移行させることが可能である. しかし, 浸食傾向の
海岸
は漂砂の供給源でもあるため,
海岸
全体を考慮した対策が望ましい.
沿岸域の持続可能な発展のためには, 各
海岸
の自然状態の傾向維持や回復を目標とした沿岸域の利用・浸食対策が必要である.
抄録全体を表示