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民間人殺害、波紋広がる ゼレンスキー氏、欧米に不満―「戦争犯罪」、停戦に影響も

2022年04月05日07時10分

3日、ウクライナ・キーウ(キエフ)近郊ブチャの集団墓地脇で嘆き悲しむ人々(AFP時事)

3日、ウクライナ・キーウ(キエフ)近郊ブチャの集団墓地脇で嘆き悲しむ人々(AFP時事)

  • 3日、キーウ(キエフ)近郊ブチャで、大破したロシア軍の車両を調べるウクライナ兵(EPA時事)

 ロシア軍が撤収したウクライナ北部キーウ(キエフ)州ブチャで民間人とみられる多数の遺体が発見された事件は「ジェノサイド(集団殺害)」(ゼレンスキー大統領)と見なされ、国際社会に波紋が広がった。ロシア国防省は「挑発」として関与を否定するが、内外で非難の声が高まっており、本格化したばかりの停戦交渉に影響を及ぼす可能性もある。

ロ軍撤収後、民間人410遺体 「集団虐殺」と非難―ウクライナ大統領

 「明らかな戦争犯罪」。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は3日、目撃者や被害者に電話で聞き取り調査を行い、ウクライナ各地での処刑などの実態を告発した。うちブチャでは3月4日、占領していたロシア軍が男性5人を道路脇にひざまずかせ、うち1人を射殺。「近くにいた女性たちは叫び声を上げた」という。北東部ハルキウ(ハリコフ)州では、性暴力被害が報告された。
 「ドイツのメルケル前首相とフランスのサルコジ元大統領にはブチャに来て、ロシアへの14年間の譲歩が何をもたらしたかを見てほしい」。ゼレンスキー氏は3日夜、動画声明を発表。2008年の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議でウクライナの加盟を事実上見送ったことが、今回の惨事につながったと指摘し、当時の独仏首脳に不満をぶつけた。ただ、戦争犯罪を追及されるのはロシア軍と侵攻を命じたプーチン政権だ。
 ウクライナ政府によると、ブチャに展開していたのは、極東ハバロフスク地方からベラルーシ経由で展開した部隊。インターネット上では、早くも事件を独自に調査する動きが出ており、この部隊の司令官のものとされる住所や電話番号が掲載された。国際ハッカー集団「アノニマス」は3日、侵攻に関与するロシア将兵約12万人の「個人情報リスト」を公開した。
 国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)によれば、2日までに確認された民間人の死者は子供121人を含む1417人。ただ、キーウ州イルピンや南東部マリウポリなどの激戦地では犠牲者の報告が遅れており、これらの数字に反映されていないという。ウクライナ側は、マリウポリだけで推計5000人が死亡したと主張する。
 「(過激派組織)イスラム国(IS)よりひどい」「プーチン大統領は責任を負わされる」。3月上旬に解散したロシアのラジオ局「モスクワのこだま」のベネディクトフ元編集長は4日、通信アプリに英各紙の見出しを掲載。その上で「欧米で憎悪の水準が高まっており、必要ならベオグラードのようにモスクワを空爆することになるだろう」と記し、1999年のNATOによるユーゴスラビア空爆になぞらえて深刻さを訴えた。

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